幹之メダカ
“幹之メダカ”は、それまでのメダカに見られなかった特徴を持つ、突然変異で出現したと言える系統になる。最大の特徴は背部に青みがかった銀色の発色を見せる点である。
この輝きは、虹色素胞によるグアニンの輝きによるものになる。“幹之メダカ”が初めて世に出たのは、2007年の日本メダカ協会が主催した第一回めだか品評会であった。愛媛県の菅 高志氏が“背中光強メダカ”の名称で出品された。品評会時はガラス水槽で横から見る展示であったため、特徴である背の輝きが見えにくく、さほど注目されなかったが、その後、広島県『めだかの館』によって広められ、菅氏の娘さんの名前に因み、“幹之メダカ”の呼称が付けられた。
当初は、その最大の特徴の背部の輝きは、背ビレ前に点状に入る程度で、“点光”や“弱光”、“強光”といった具合に輝きの広さでランク分けもされていた。その輝きを伸ばすべく選抜累代が進められたことで、今では口先から尾の付け根まで背部全体が光り輝く姿に仕上げられている。
最近では、こうした輝きが部分的に入る程度の表現を見ることは少なくなっている。それほどまでに“幹之メダカ”は進化している。さらに“幹之メダカ”と他品種を交配することによって、特徴である背部の輝きを移行させた様々な人気品種が作られるようにもなった。多色の表現で体外光を持つ最新品種の人気は当然のように高いのだが、“幹之メダカ”そのものの美しさは、“楊貴妃メダカ”と並ぶ改良メダカの基本形だと言える。“幹之メダカ”にこだわり、長く累代を進めているプロも多い。最新品種に比べて安価で入手できることから軽んじられていることもあるが、しっかりとその魅力を噛み締めてほしい存在だと言える。