2022年、メダカの異品種交配を進める!

今年も6月7日に関東地方は梅雨入り、それまでの夜間には気温が上がらず、雨の後の強烈な太陽光下でのメダカの管理など、屋外でのメダカ飼育は、今年も過酷そうである。

5月27日などは、午前中は猛烈な雨が降っているかと思えば、昼以降は快晴!カンカン照りになった(・_・;

卵や針仔、種親などは、自分は室内水槽で管理しているのだが、1.5cmを超えた幼魚や採卵していない品種は自宅2階のバルコニーで飼育しているので、雨水が入った飼育容器は、前もって天気予報を見ていたので、27日は午前中から雨の中で27日、28日に水換え予定だった容器は水換えをした。

雨水が入ることで、水温が低下し、グリーンウォーターの場合は植物プランクトンが死滅し、水がやや黄褐色がかって透明になることがある。この状態は非常に危険な状態なので、私は全換水で対処した。

1.5cmを超えた幼魚は熱帯魚用の細かい角網を用いて、幼魚を掬い出し、プラケースに一時的に移して、容器を洗浄して、新水を張り、食塩を0.1%濃度になるように添加して、そこに魚を戻すようにする水換え方法を行った。

針仔には注意を払っているものの、幼魚になると強くなっていると思いがちであるが、この頃にグリーンウォーター内の植物プランクトンが死滅した飼育水では、簡単に全滅しても不思議ではないのである。それに、グリーンウォーターの青さが濃いほど、実は幼魚は餌を食べているようで満腹になるまで食べていないことがほとんどである。

横見のケースで見ていると判るのだが、思った以上に痩せていたりするのである。人工飼料をまいて、水面で餌を食べているように見えても、実は水が汚れていれば、一匹、一匹の食べる餌の量は減っていることがほとんどである。

これからの梅雨の時期は梅雨明けまで、週間天気予報、翌日の天気予報をよく見て、どう対処すべきか?個々で考えていただきたい。「早め早めの水換え」これが一番良い方法である。

さて、今年も改良メダカ人気は高いものの、ここ最近は新しい表現のメダカを作ろうという愛好家が減ってきているように感じる。

販売が目的の場合は、人気品種をいち早く手に入れて、それをなるべく早く繁殖させて、卵や稚魚を売ろうとする。そういった方法を取る人がここ数年増大している。

悲しくなるのは、そういった人たちによって、せっかく苦労して作られた新たな表現が、金額の下落が思いの外、早くなってしまう点に表れる。

現在、最も注目されている作り手の一人である垂水政治氏の“鱗光”や“ブロンズ”は、メダカでお金稼ぎをしようという人には、魅力がないのはその人たちの自由だが、それによって、“鱗光”や“ブロンズ”といった、まだまだ楽しめる系統をやろうという人が少なくなってしまうのは問題である。

この二品種の持つ魅力は、まだまだこれから様々な楽しみ方ができるはずである。

また、『静楽庵』作出の“黒ラメ幹之サファイア系”や“白ブチラメ幹之サファイア系”も同様で、最近では、やはり『静楽庵』作出の“オーーロラ黄ラメ幹之”からの派生型、選抜交配系統として知られるようになった“ユリシス”や“サボラメ”などと交配して、“ユリシス”ד黒ラメ幹之サファイア系”や“夜桜”ד黒ラメ幹之サファイア系”などが新たなもののように見られるのも、悪いことではないのだが、なんだか悲しい現実である。

メダカの異品種交配は、高く売れるものを作るというより、愛好家が「こんなメダカが出来ないかな!?」という想いで、最低、二世代、できれば三世代以上進めて作るものなのではないだろうか?

こちらは、『上州めだか』の岡田卓也氏が、“王華”ד鱗光”の交配から進めている“王鱗”でも体外光があまり出ない、体の前半のブロンズがかった色合いのメス個体である。これを今年の3月31日に見せてもらい、メスだけを譲って頂いた。

それに、この“マリアージュロングフィン”のオスを交配してみようと思い、やっているところである。

「この“王鱗”の色合いで、“マリアージュロングフィン”のような背ビレ、しりビレの軟条の先端が伸びないかな!?」という交配である。現在、F1が2cmサイズに育っており、近々、撮影予定である。元々、“王鱗”には“鱗光”の血統が流れており、“マリアージュロングフィン”との相性は悪くないはずである。

こちらは、福岡県古賀市の『Azuma medaka』の田中拓也氏が、作出した“ブラックモルフォ亜種”の白体色、“白亜種”のオスである。

これに、福岡県久留米市の『水紅』の砥上薪悟氏が進めている“夜桜ゴールド”のメスを交配してみている。

「何をしたいか?」と言えば、“夜桜ゴールド”の尾ビレに亜種表現、あるいは“夜桜ゴールド”の背ビレ、しりビレにヒレ光を入れたいと思ってのことである。まだ採卵を開始したばかり!F1で100匹以上の針仔は得たいと思っている。

ここで、異品種交配する上で、忘れてはいけないのが、「交配に使った両系統とも、累代繁殖は進めておく」ことである。

この“夜桜ゴールド”ד白亜種”は、ラメの移行、夜桜ゴールドの体色の移行、モルフォ亜種表現の移行と大きなテーマとして3つある。それが累代繁殖だけで出来れば苦労はないのだが、F2を育てた段階で、「あと少し!」ということはよくある。それを補うために、戻し交配が必要になる。その時に、“夜桜ゴールド”も“白亜種”もいない…では志半ばで中断しなければならないことも往往にしてある。

そのために、「交配に使った両系統とも、累代繁殖は進めておく」ことは重要なのである。ただし、飼育容器がより多く必要になるのだが(^^;;

こちらは、“ブラックモルフォ亜種”のメスである。こちらも福岡県古賀市の『Azuma medaka』の田中拓也氏が、作出した系統で、尾ビレの「亜種表現」と呼ばれる、ヒレ膜上にグアニンパターンが入ることが最大の特徴である。

オスには、神奈川県川崎市在住の中里良則氏の作出された“ブラックダイヤ”のオスを交配してみた。

狙いは、“ブラックダイヤ”で「亜種表現」を持つものである。黒体色同士なので、相性は悪くないかもしれないが、“ブラックダイヤ”には“オロチ”の血統が入れられており、その強烈な黒さがどう作用するか?楽しみであるし、不安でもある。

“ブラックダイヤ”のオスは中里氏の最新の累代系統を使わせていただいた。

こちらも、“ブラックダイヤ”、“ブラックモルフォ亜種”それぞれを累代繁殖させて、いつでも戻し交配が出来るようにしている。

メダカの異品種交配は、結果が出るまでに最短でも半年以上、F3、F4まで進めていこうとすれば、一年がかりの作業である。その途中経過を見ていくことがそれだけでも多くのことを学べるし、経験値となる。

まず、メインとなるメダカの色柄、姿をジッと見て、「これに何か一つ加えるとしたら何だろう?」と考えることから始めると良い。特に“ブラックモルフォ亜種”の白体色、“白亜種”のオスは、これ以外にも“クリアブラウンラメ幹之”や“紅帝ラメ”との交配にも使っていたりする。

最近は、「当方のオリジナル系統です」という言葉をよく見かけるが、これまでに似た表現がなかったものにこそ、オリジナルという言葉を使ってもらいたいものである。「当方のオリジナル系統です」という言葉を商売のために乱発しているようなところには、メダカの趣味性の奥深さをもっと知ってもらいたいものである。大抵、そういったメダカで「オッ!」と思わされたものはほとんどおらず、前に見たことがあるなぁという魚に多いのも確かである。自分が「当方のオリジナル系統です」と言うものではなく、周りの人からの評価があって、初めて、オリジナルと言えると思うのだが、売らんがためのハウスネームは、ハウスネームではなく、「商品名」レベルだという部分を理解してもらいたいところである。

ブツブツ言っているが、異品種交配をもっともっと多くの方々に楽しんで頂きたいと思う。

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