夜桜

“夜桜”は、愛媛の垂水政治氏が“黄桜”（二色幹之）×オーロラ幹之の交配からラメを重視して作出した品種になる。

　黒灰色がかった色合いの体に細かく輝くラメが散らばる姿が特徴で、その呼称のイメージにも合う姿から人気を獲得した品種である。オーロラの血筋から、頭部がうっすらとピンクがかる特徴もある。

　ただ、この姿を見て「これが“夜桜”？」と思う方も多いかもしれない。赤や黄といった派手な色合いは持たず、ある意味、地味な姿に見えてしまうだろう。それほどまでに今日の“夜桜”は派手な姿に改良が進んでいるのだが、発表当初の“夜桜”は、青灰がかった体にラメと体外光を持つ姿で、その後、多く見られるのは黒灰色の体にラメが散らばる姿になった。

　黒みがかった体色をした“夜桜”であるが、殖やしていると黄色がかった体色の個体も得られる。“黄桜”の影響から、こうした色味のタイプも出てくる。垂水さんが“夜桜”作成中にも、黄体色や柿色の入るバリエーションも出てきていたそうだが、その中で垂水さんはあえて青黒の色合いに注目されたのであった。
　黄色みを持つタイプを選抜累代することにより、“夜桜”は“夜桜ゴールド”など派手な姿へと進化していくことになる。それはそれで改良品種の楽しみでもあるのだが、その反面、大元の“夜桜”と言える表現が少なくなっている印象も受ける。改良を進めていくと共に、オリジナルも大切にしていきたいものである。