白ブチラメ幹之サファイア系
2020年の春に岡山県の『静楽庵』からリリースされた“背ビレなし黒ラメ幹之 サファイア系”。その青く輝く姿は爆発的な人気を博し、多くの人に好まれ、“サファイア”の呼称も定着した。本系統を繁殖させることはもちろん、その美しい青いラメを移行させる交配も盛んに行われるようになった。当然のことながら、『静楽庵』でもそうした交配は“サファイア”にはすでに進められていた。そして、翌年2021年の春に“青い宝石”の第二弾として発表されたのが“白ブチラメ幹之サファイア系”である。
“白ブチラメ幹之”は、2014年春に作出されたラメ系品種としては古くから知られる。白体色でブチ模様を持つ体にラメが入ったことで、ラメが多色に輝き、まさに虹のような輝きを見せる姿であった。この“白ブチラメ幹之”の中から黄斑を呈した個体が得られたことから、後の“三色ラメ幹之”へとつながっていった重要な系統でもある。
その“白ブチラメ幹之”に“サファイア”が交配された。白と黒の体に、“サファイア”の背面に幅広く出現する青いラメが乗ったことで、その青の表現はさらに複雑な濃淡をみせるようになった。
黒斑の上にあるラメは濃紺、白地の上であれば水色といった具合に、青の一言では言い表せない表現は、多くの人を虜にした。赤や黄といった派手な色彩は持たなくとも、澄んだ美しさを楽しめる系統である。
ただ、その後、三色柄に“サファイア”のラメが移行されたタイプが発表されると、どうしても新しい方へと多くの人の興味が移ってしまった。作出元の『静楽庵』自身が新たな品種を作り出す作業をし続けているため、複雑な想いをお持ちだそうだが、この美しさは忘れてはいけない存在であると思う。