静楽庵 訪問

 今年も春の『静楽庵』へお邪魔した。今回のメインとしては、やはり“令和黒ラメ幹之サファイア系”である。2020年にリリースが開始された「令和」シリーズと名付けられたすべてのヒレに朱色が入る“令和遺伝子(RP-3)”は『静楽庵』の様々な系統への導入が進められた。特に昨秋に見せていただいた“令和黒ラメ幹之サファイア系”のプロトタイプは、メダカ百華掲載後にも大きな反響を呼んでおり、多くのファンがリリースを待ち望まれていた。

 お邪魔している際にも、次々とかかってくる問い合わせの電話は、この魚のリリースがいつになるか?という内容ばかりであった。昨秋に見た姿でも、“サファイア”譲りの青いラメとヒレを染める朱色の姿に見惚れた。もう充分にリリースできそうな感じではあったが、『静楽庵』としては、より安定した形質になるまでリリースはしないため、その時点では「来春予定」とおっしゃるだけであった。そしてこの冬の間にもさらに累代を重ね、この春には準備が整った。その“令和黒ラメ幹之サファイア系”をリリース直前に見せていただいたのであった。
 今までの三色ラメ幹之は、非透明鱗性でヒレに色を乗せることは難しかったのだが、“令和遺伝子(RP-3)”の発見により、各ヒレに色が乗り、ラメも増えた。さらに透明鱗性のメダカのような色抜けをすることもわかり「成長具合によって透け具合や色味が変わることも楽しんでもらえるメダカです。」とされていた。『静楽庵』の育て方では、二ヶ月で2.5cmに育て、リリースするのは約3cm三ヶ月くらいだそうだが、この「令和」シリーズの特徴としては、仕上がりは遅めで、生後五ヶ月くらいからしっかりとした色乗りができあがるそうで、リリースする魚たちは、これから仕上がっていくような形になるそうだ。そして成長につれてさらにヒレの色合いも濃くなり、ラメがつながったりすることなどの変化を楽しんで欲しいとされていた。訪問後、4月に入ってリリースされた“令和黒ラメ幹之サファイア系”の人気は凄まじいものであった。


 奥まったハウスの入り口には「研究開発棟」の文字。この中は文字通り様々な新品種作りなどが行われており、次なる『静楽庵』のメダカ作りが進められている場所である。

 年期の入ったジャンボダライが並び、数多くの稚魚が育てられていた。中にはチラホラと親個体も見られ、採卵セットが組まれている容器もある。“令和遺伝子(RP-3)”を持った新たなタイプもおり、次なる新系統作りが着々と進められているのであった。


 昨春に稼働した大型ハウス内もフル稼働されていた。約400リットルが入る大型容器だが、中で育てられているメダカの数は多くない。メダカ1匹に対する水量を多くすることで、しっかりと泳がせて育てているのであった。

 バケツに小分けされているのは、ネット販売されるメダカたちである。『静楽庵』おなじみの“サファイア”や三色ラメ幹之などがセットされていた。魅力的な新系統を発表する『静楽庵』であるが、「メダカの品種改良には二通りある」とされる。ひとつは異品種交配など異なる表現のメダカを掛け合わせすることで新たな表現を作り出すこと。もうひとつはすでにある系統をよりよく仕上げていくことという二つのやり方をあげられた。「新しいのを出せば、嫌でもその注目度は増しますが、その前からいるメダカもそれぞれの魅力がある。それを忘れてほしくない」とされていた。新しいものを作り出さなければいけないという想いは、歩みを止めないためにも当然必要であるが、その影で忘れられてしまう系統が出てしまうのは寂しいと感じておられた。実際、今までに紹介された『静楽庵』のメダカは魅力にあふれており、それぞれを楽しんでほしいと思えるメダカたちである。


 “背ビレなし黒ラメ幹之サファイア系”
 この系統の発表から青いラメの注目度は増した。多くの愛好家や養魚場でも殖やされ、一般種とも言えるくらいの普及種になった。異品種交配にも多用されており、大きな影響力を持ったメダカである。


 “三色ラメ幹之体外光”
 頭から尾までを貫くしっかりとした体外光を持ち、三色柄の発色も強い系統になる。遺伝率も高く、この系統の血筋の交配系も数多い。看板的な存在で、年々品質も向上されており、令和元年冬版としての“WI-01”、令和3年冬版としての“WI-03”といった具合に累代が進められている。


 “三色ラメ幹之サファイア系”
 三色ラメと“サファイア”の交配から作られたいいとこどりのような姿である。しっかりとした三色柄の青いラメが入る姿は、単純に綺麗と思えてしまう。この前身の“白斑ラメ幹之サファイア系”なども忘れてはいけない存在である。

 「メダカという趣味は、最初の頃は男社会で年輩の方がされるイメージでした」と思い返されていたが、その後若い方も増えてきて、今では女性の愛好家が増えていると実感されている。家族連れで来店する方も多いそうで、メダカという趣味が広く認知され、多くの人に楽しまれているのがわかるそうだ。メダカに対する好みは人それぞれで、柄やラメ、体外光など、どこに注目するかはどれが正解とは言えない部分がある。販売側が薦めても、その人の好みに合わなければしょうがない。だからこそ、自分で繁殖させて好みの姿を追ってみて欲しいとされていた。「最初は難しいかもしれないけど、慣れれば一般の人でもメダカは殖やせますから」と、産まれて3ヶ月もすれば産卵させることのできるメダカだからこその生活サイクルを楽しんでほしいとされていた。

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