『凸凹メダカ凸凹』訪問
『凸凹めだか凸凹』彩さん宅へ。目的は彩さんの作出した“鋼(はがね)”を見せてもらうことである。
朝、最寄り駅で拾っていただき、彩さんの家に着いて数分、曇り空ではあったのだが、ポツポツと小さな雨粒が…
この日の予報では曇りで、雨の心配はないつもりであったのだが、だんだんと水面の波紋が大きくなり、屋外での撮影は断念。まさか雨が降るとは思っていなかったのだが、この日の様相は雨男ぶりを発揮したとしか言えないものであった。しかも、終了して彩さんの家を後にしてしばらくすると「明るくなってきました」とのLINE。笑うしかなかった。
彩さんといえば、“緑光”を愛知県『グリーンベール』にいた緑色がかった個体を元に、神村孝人氏と共に仕上げていった方である。「“緑光”に出会えて幸運でした」と、惚れ込んでおられる。「よく食べるし、寄ってもくるところが可愛い。丈夫で初心者の方にもお薦めしやすい」のが“緑光”とされ、「逃げてくようなメダカは可愛くないから」と笑われる。
ご自宅お庭のスペースは発泡を中心に大小さまざまな容器で埋め尽くされていたが、温度管理などの必要性から、ハウスを新調し、そちらへ容器を移動させている。お伺いした際は、配管工事中であったため、引きの光景はお預け。しかし、ハウスの中はすでに容器が溢れかえっていた。
ジャンボプラ舟には採卵中や採取した産卵床の容器がびっしりと設置されていた。その横の飼育発泡の上には採卵した容器が所狭しと並ぶ。
“緑光”をタイプ分けされたりと、次々と容器が増えていってしまうのはメダカ愛好家には当たり前の話である。
“鋼”は、“緑光”の中から出てくる青幹之系統で腹部の黒いものをまとめ、それを累代繁殖していたところからF3で黒味を増したものが出てきたのが元になっているそうだ。ここまでの過程は、種親こそ違うものの、『猫飯』が作出した“鯖”と同じなのだが、彩さんは体側面のグアニンの輝きを重視し、黒味を持つ個体群に、さらにもう一度、“緑光”から選んだ個体を交配し、累代を続けている系統が“鋼”である。
現在では、F9まで進んでおり、F6以降では外光が口にまで達する個体もでてきている。側面のグアニンを意識されてきたが、累代を重ねることで、自然と外光も伸びたようで、「ご褒美みたいなもの」とされていた。全身が暗黒色の個体や、体内光、黒味、そして青緑色に輝く体外光が複雑に混ざり合う個体などが見られ、上見横見共に幻想的な姿が楽しめる。
“緑光”系の他にも三色など柄物なども飼育されているが、昨年は数を残しすぎて大変だったそうで、今年は越冬前にごっそりと数を減らされていた。「ちょっと減らしすぎたかも」とされる中で、撮影個体を無理くりだしていただいた。
累代を続けている『万葉』
古くから知られる非透明鱗三色だが、見る機会は減っている。こうした品種も大切に維持されており、最近話題のリアルロングフィンも入手され、交配にも取り組まれていた。配管工事が終了し、本格的なシーズンに入ったら、また見せてもらおうと思ったものである。