宮本浩克氏の養魚場 訪問
この日も早朝に三色ラメの作り手、植木伸也さんと合流。植木さんの車で向かうは愛知県の宮本浩克さんの養殖場である。
宮本さんはプロのメダカ養殖家で、ご自宅から車で数分の場所に大型のハウスが並ぶ養魚場がある。180角で深さ45cmの木枠で作られた池や80リットルの黒プラ舟、そして6.5トンの円形プールなどが並ぶ光景は壮観で、お伺いする度に施設は拡大されているのには、毎回、驚かされる。
生産者ならではの光景で、たたき池には育成中の数種のメダカが群れており、ここから選別されていくのである。
(株)清水金魚での市に出向くたびにお会いするのだか、その都度、「前よりも池増やしましたよ。メダカもできてますよ」といった具合にお話を聞き、驚きつつもお伺いする楽しみを覚えたものであった。
この日も、初めて足を踏み入れたハウスがあったのだが、そこには今までのたたき池6面分という巨大なたたき池を筆頭に大型池が並んでおり、その向こうには、さらに池が製作中という驚きの光景が広がっていた。いったい何万匹のメダカがここで育てられるのだろうか。
ひとつのプラ舟には親魚5~6匹が1セットで収容されている。お伺いのお願いをした際に、「じゃあ撮影用の親100セット用意しときますね」とのお返事をいただいていた。そんなにたくさんは冗談でしょ?と思いつつも、宮本さんのところならいそうだと考えてしまう部分もある。実際のところは「100は無理でした。60くらい」と宮本さん、「そこらへんのはみんな撮影用ですから」と、十分以上の用意をしていただいていた。足りないといっても、それは時間の話で、メダカ自体はまだまだ選び放題にいるので、泊まりがけで撮っていてもネタは尽きそうにないのであった。
一部の親魚たちをご紹介
まずはサンセット極龍
口先から胸ビレまでビカビカの仕上がり。やはり幹之系の美しさは万人を惹きつける。
黒百式
最近、注目度の上がっている品種もしっかりと持たれ、殖やされている。
煌
頭赤の柿色表現で体外光を持つ、オリジナルの姿をしっかりと意識されている仕上がりである。
緑光
各地で殖やされ普及種になったが、しっかりと美しい緑色の発色に仕上げられている。
琥珀ラメ背ビレなし
多色のラメ表現を見せる人気品種である。
「やるなら好きなメダカを殖やしたい」とおっしゃる宮本さん。ただ、市場の動きとそれが必ずしも一致しないこともあり、その辺りのさじ加減は悩ましいところだそうだ。三色ラメ幹之やオーロラ黄ラメ体外光、夜桜など、知られた品種から、宮本さん独自の交配系など、数多くの品種を手がけており、(株)清水金魚の市場へ数よりも質を重視された出荷をされている。『きらら養魚場』の屋号も考えておられ、今年も宮本さんのメダカには何度もお目にかかることになるだろう。