惹かれた品種 “小川ブラック”
発表されたのは2009年という古くから知られる品種である。
小川祝治氏のメダカを元に、愛知県『めだか倶楽部クリーク』が選別淘汰をして系統としてまとめあげて発表した品種である。当時は、まだ改良メダカとしてはヒメダカ、楊貴妃、アオ、シロ、ブラックといった感じで、カラーバリエーションはごく少なかった。黒い色のメダカとしては、ブラックメダカが流通していたが、この“小川ブラック”を見た際、「黒い!」と感じたもので、それまでのブラックメダカが灰色の濃い姿のように思えてしまった記憶がある。
オスは特に腹ビレが黒く染まり、それもアクセントになっていた。
メスでは腹ビレには色が乗らず、すっきりとしたイメージを受けた。黒い体に青く輝く目も特徴的であった。
今では“オロチ”という黒の最高峰がいるが、当時はこの“小川ブラック”の黒さに強く惹かれた。まだメダカを撮るにも、上見ではなく、水槽での横見が基本となっていた時であったが、ブラックメダカが日の当たらない水槽飼育では、すぐに色褪せてしまっていた。この“小川ブラック”は、それまでのブラックメダカに比べると、黒みが落ちにくかった想い出があり、水槽飼育を楽しんでいた。それでも、屋外で陽の光に当たって育った個体の黒さはやはり濃く、陽当たりの大切さを教えてくれた品種でもあった。最近では多くの品種が紹介され、漆黒の品種もおり、本品種の扱いは減ってしまっているが、やはり忘れてはいけない品種である。