惹かれた品種 ”女雛“
“女雛”は、メダカ交流会inエヒメの垂水政治会長によって、“黄桜”とオーロラ幹之の交配から作られた。“黄桜”は、垂水氏が非透明鱗の二色、三色メダカに幹之のW光を交配し、その子にアルビノラメヒカリを交配して作出された、黄と白の二色の体色を持つ“黄幹之”とも呼ばれる品種である。オーロラ幹之は、岡山県の静楽庵によって青幹之とアオメダカの交配から作られたオーロラのような体色に体外光を持つ品種になる。こうして作出され、“女雛”という親しみのある呼称と、柿色と表現される明るいオレンジの色合いで、発表当初から高い注目を集めたものであった。
初めて泳いでいる垂水氏が育てた“女雛”を見たのは2017年のことであった。その個体は、頭部に柿色の発色を見せるタイプであった。ほどなくしてメダカ百華でも垂水氏直系“女雛”の同じ表現の個体が掲載されたのもあって、頭赤の“女雛”が頭に強く刷り込まれた。
このようなタイプが、自分の中の“女雛”像として固まってしまった。ただ、その後、数多くの“女雛”を見たり、殖やしてみた結果、柿色の入り方は非常にバラエティに富むことを思い知ることになる。
同時に、頭赤の表現の“女雛”は、少ないということも実感したものである。
しかし、作出者の垂水氏にお聞きしたところ、「“女雛”の柿色の入り方は人それぞれの好み」とされており、少しでも柿色が入っていれば、それは“女雛”の範疇とされていた。
柿色が全身に広がる個体
頭にだけ柿色のない個体
小さく部分的に柿色が入る個体
どれも“女雛”である。柿色の入り方に縛りはない。自分好みの表現を選べばよいのである。しっかりと日光の当たる環境で、餌にも気を使いながら育成していきたい。
また、作出過程でラメを持つタイプも得られ、そのラメを増やす方向で選別されたものが“夜桜”になる。同じ作出過程であるため、“女雛”でもラメを持つ姿が出現する。
本来、ラメを持たない柿色を追求したのが“女雛”なのだが、そこにラメが加わった姿も魅力的であり、“女雛ラメ”という呼称もいつのまにか定着している。本来は、ラメの“夜桜”と柿色の“女雛”なのだが、兄弟関係であるため、どちらともとれる姿の魚も数多く見られるのだが、オリジナルにこだわった姿もしっかりと維持していきたいと思う。