2021年初の中里邸訪問
昨日、2021年になって初めて神奈川県川崎市在住の中里良則氏の飼育場にお邪魔した。
『メダカ百華第10号』の巻頭で掲載したページである。2020年11月にセンセーショナルなリリースがされた“中里リアルロングフィン”は、グッピーのリボンタイプのような顕性(優性)遺伝をすることでさらに全国各地のメダカの作り手の心を揺さぶった存在である。
中里さんからリリースされているリアルロングフィンは、幹之Sリアルロングフィン、プラチナ幹之リアルロングフィン、プラチナ星河リアルロングフィンの3系統が知られている。
例えば、幹之Sリアルロングフィンは2020年10月第二週にリリースされたものだが、中里氏の場合、リアルロングフィン同士での採卵はされておらず、常にリアルロングフィンのオスに、ノーマル系統のメスを交配されて、次世代を作っておられるのである。当初のリアルロングフィンのメスでは、幹之メダカ独特な頭部と背ビレ基底前端の中間あたりが隆起するものが多かったのだが、その体形の悪さを矯正するために、中里氏は常にノーマル系統のメスを使われ、近親交配はされていないのである。
そのため、名称こそ「幹之Sリアルロングフィン」であっても、世代が違うとさらに中里さんが48世代以上累代されてこられた幹之メダカのグアニンの多さを一緒に移行しながら発展しているのである。
その中里さんと言えば、“オロチ”と中里氏が作ってこられた“星河(せいが)”のハウスネームで知られる青ラメ幹之との交配によって作られた“ブラックダイヤ”が知られているが、リアルロングフィンと“ブラックダイヤ”の交配は、中里氏の手によって着々と進められているのである。
そのF1は2点だけ『メダカ百華第10号』に掲載したが、F2でブラックダイヤの持つ“オロチ”血統の黒さを持つものとは異なった、体外光が目立つ、青黒い個体群も分離して出てきていたのである。
昨年の11/1〜11/6に採卵された魚で、まだ生後二ヶ月ちょっとが経過した若魚である。
リアルロングフィンになっているのだが、ヒレの伸長程度は、幹之系統のものよりやや短めだが、これは松井ヒレ長などでも見られる傾向である。
この系統を中里氏は仮の管理名として“スパークブルー”としようかという話になったのだが、次の世代を採って、固定率を見てから、その後、リリースされるか?を決める予定。表現はまとまりそうだが、中里氏が満足しなかったら、この写真が最後になってしまうかもしれない(汗)
2021年はリアルロングフィン系がマーケットを引っ張るところは確実にあるだろうが、その可能性は、まだ昨年の11月から始まったばかりである。