惹かれた品種　“オロチ”

奈良県『飛鳥メダカ』が作出した黒系メダカの最高峰とも言える品種

　その特徴は、全身が真っ黒に染まる色合いである。それまでのブラックメダカと言えば、下顎や腹面のキールなどには黒が乗りにくかったが、“オロチ”ではそこも黒に染まる。さらにその黒の濃さが段違いである。

　もうひとつの特徴として、明るい環境でも色落ちしにくいことが挙げられる。それまでのブラックメダカでは、屋外で太陽光を浴びる環境でないと、濃い色味を引き出せなかった。しかし、“オロチ”は、室内で飼っていてもほとんど色落ちがせずに、濃い黒の色彩をしている。

　ただのブラックメダカでは、明るい環境や室内に入れるとすぐに黒が薄れてきてグレーっぽくなってしまうのだが、“オロチ”では白い容器に入れていても体色を保っているのである。
　あまりの黒の濃さで、黒い容器ではどこにいるかわからなくなってしまうこともあるが、室内でも色落ちしないことで、水槽飼育にも向く。カボンバなどの明るい色合いの水草をバックにすると、その黒さはより一層映える。
　発表された当初の“オロチ”は、ヒレの縁に白が入るよいポイントを持っていたが、最近では白がなく真っ黒な場合が多い。小さなポイントではあるが、こうした特徴も見逃さずに残していきたい。