惹かれた品種 “オロチ×紅薊”交配系統
昨秋、岡山県の岡本秀文さん宅で見せていただいたメダカ
朱に染まるヒレに目を奪われた。体色も琥珀をさらに濃くしたような、なんとも言えない独特な色合いに染まっており、その正体をお聞きしたところ、“オロチ×紅薊”の交配品種とのことであった。
横見も素晴らしい。野生のメダカが見せるようなシャープなフォルムをしており、この辺りの出来は岡本さんのしっかりとした選別が効いているのがよくわかる。
“オロチ×紅薊”の交配は、元々、ブラックダイヤや星河などの作出者、中里良則氏が進められていた。そのメダカたちがまとまって『夢中めだか』へ託され、岡本さんの個体も、その時のものが元になっていた。入手されてから4世代ほど進められており、この色合いの表現で雌雄がついに揃い、固定率を上げる作業に入られていた。
一方、こちらは同時期に『夢中めだか』で撮影した個体
黒墨を意識して累代が進められているとのことであった。“紅薊”由来がよくわかる全体に黒みを帯びた個体の他、部分的に墨が散らばる表現。そして、ヒレにも黒が乗った個体も得られており、不気味な表現を目指して累代を進めていた。
この1年半ほど前に『夢中めだか』で撮影していた“オロチ×紅薊”の交配系
すでに先に表現の元になるような個体たちがいたのだが、岡本さんと『夢中めだか』との着眼点の違いで、同じ系統からでもまったく違った姿に仕上がってくる。こうした面白さもあるのが、改良メダカの交配の楽しみでもある。