“ザ・メダカスペシャル”
広島県の瀬尾開三氏が作出されたメダカが、親交の深い愛媛県『ザ・メダカ』の玉井俊郎氏に託され、“ザ・メダカスペシャル”のハウスネームで紹介された。そのメダカが全身体内光メダカであり、その後、全国へ広く普及していった。
その大元の“ザ・メダカスペシャル”を他種と混ぜることなく累代されているのが、埼玉県『メダカワールド』の小熊孝則氏である。
頭の後ろから尾筒まで、LEDのような体内に独特な輝きを見せる全身体内光の表現を持っているのはもちろんなのだが、赤黄青緑といった具合に、多色の輝きを持っている印象を受けた。
育て方もあるかもしれないが、他の全身体内光ほどごつい体つきをしておらず、頭部の顔形もおとなしめに見えた。
体外光を持つ個体。体内の輝きを邪魔しないほどよい太さの体外光で、緑から黄色へと続く体内光のグラデーションが美しい。
黒い色素を体表に多く見せる個体。こうした個体たちを見ていると、累代することで黒百式など、派生するタイプにつながっていくことが見えるものであった。
そして、さらに面白い変化が現れていた。
水泡眼と呼ばれる目の角膜が肥大した目を持つ。水泡眼を持つメダカは、2008年に発見されていたが、長い間、遺伝させることは難しいとされていた。しかし、2018年には埼玉県『行田淡水魚』の小暮 武氏により遺伝が確認されている。『メダカワールド』でも、突然、この形質が現れたが、この兄弟魚で複数の水泡眼個体を得られている。
この水泡の中はリンパ液で満たされている。個体によって左右で大きさが違ったり、極端に大きくならず、ほんの少し膨らむ程度という個体も見られた。
“梵天”と呼ばれる頭部にだけ体外光が乗るタイプ。この個体では、水泡眼も大きく、体内光の表現も非常にカラフルであった。
『メダカワールド』では、この特徴を持つ個体だけでの繁殖コロニーが作られていた。
“ザ・メダカスペシャル”の維持と共に、新たな水泡眼タイプの固定化も進められており、またひとつ楽しみが増えたものであった。
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