ヒレ長同士の交配メダカ“バタフライ”
各ヒレが伸張し、特に尾ビレが扇状に伸張するのが特徴の“松井ヒレ長”、各ヒレの軟条が伸張し、櫛のようなヒレになる“スワロー(風雅)”、これら2タイプのヒレの伸張するメダカを交配して、さらに光体形にまとめるように作出されたのが“バタフライ”である。
埼玉県『桃ちゃんめだか』の藤川泰広氏が、この2品種で掛けたところ、F1でどちらとも言えない大きなヒレのメダカが得られたことで、興味を惹かれたとされる。
そこから光体形のよいものを残して固め、4世代ほど経過した2017年、ヒレの広がりが蝶をイメージすることから“バタフライ”と名付けられた。
伸張するヒレを持つ姿を楽しむには、やはり水槽での横見での鑑賞がお薦めである。たなびくように泳いでいたり、他の個体に対して広げたりと、様々な様子を楽しむことができる。
姿の表現もいろいろである。
“スワロー”の要素を強く見せる個体。伸張する軟条の中にも、特に伸びている部位が見られる。
こちらは“松井ヒレ長”風味の個体。櫛状感は薄いが、大型のヒレを持つ。
琥珀やシルバー系の体色の個体が多く見られた。
中には体側にラメを見せる個体もおり、さらに横見での楽しみを感じさせてくれる姿であった。
大きなヒレが特徴の品種であり、『桃ちゃんめだか』では大型のプールをお持ちなこともあり、広々としたところで育成しているのかと思えたが、育成にはプールなどの大容量よりも、プラ舟などの箱飼いの方がヒレの仕上がり具合がよいとのお話も伺えた。
大きなヒレは観賞向きではあるが、特にオスでは繁殖時にメスをホールドすることがうまくできないこともあるので、若めの個体の方がうまくいったり、光体形のため、骨曲がりなどにもしっかりと注意したい。
現在では7世代目まで進めており、赤系体色の東天光やブラックリムの“華蓮”でヒレ光を持つタイプなども進めておられた。この先、さらに体色やヒレ色のバリエーションが紹介されてくることが楽しみである。