ブドウ眼アルビノと“バタフライ”の交配
アルビノメダカの持つ可能性は、まだまだ出来ることがありそうだ。
2019年から、福岡県朝倉市在住の上村 剛氏の作られた、ハウスネーム“卑弥呼”の注目度はウナギ登り!
これは上村氏撮影の“卑弥呼”の写真である。
ブドウ眼アルビノをヒレ長化されたメダカだが、それにプラスして透明鱗性も持っている。そして、この写真の個体は光体形であった。
この“卑弥呼”を見て、「欲しい!」と思った。
オークションなどでも“卑弥呼”の出品されてはいたのだが、そこで出来上がった魚を入手するより、改良品種は時間をかけて作ることも楽しみの一つ!「それなら、“卑弥呼”のようなメダカを作ってみよう!」と思ったのである。
まずは、ヒレ長化なのだが、この“卑弥呼”には松井ヒレ長とスワロー(“風雅”)の両方の特徴があるので、「それを作るためには?」と考えていたところ、“バタフライ”と呼ばれる両者の特徴を持った系統が作られていることを知り、それを使おうと考えたのである。
静岡県富士市にある『Fuji Aqua Green』さんから届いた“バタフライ”は見事なヒレの伸長を見せていたのだが、自分の飼育しているブドウ眼アルビノの光体形の方が小さく、ペアリングさせるには体長の大小差が気になった。
そこで、次に入手できたのが、宮城県白石市の『伊達めだか』さんがオークションに出品されていた“バタフライ”であった。サイズ的には合うメダカが届き、いよいよ、ブドウ眼アルビノのヒレ長化に挑めることとなった。
ブドウ眼アルビノは3ペア、『伊達めだか』さんからの“バタフライ”も3ペアであった。
これをどう組み合わせるか?と魚を見てみた。
このメスに、
この“バタフライ”のオスを交配するのが理想的だと思えた。
サブとして
この2匹のオスも産卵に参加させることにした。“バタフライ”のヒレ長は様々な変化を見せるので、まずF1では、様々な素質をもった個体を揃えることにした。
そして、
ブドウ眼アルビノのオスには、
“バタフライ”同士での採卵はする予定がないので、雌雄の組み合わせを逆にしたセットを作ることにした。
ブドウ眼アルビノ♂ × “バタフライ”♀
ブドウ眼アルビノ♀ × “バタフライ”♂
をセットすることにしたのである。
どちらのF1も理論的にはアルビノヘテロの部分は同様である。
今月中から採卵出来るとして、5月上旬にはF1同士、あるいはF1と親のバッククロスも可能となるだろう。
そして、ブドウ眼アルビノのヒレ長が出てくるF2は、真夏の頃にはその特徴が見えてくるはずである。
長い道程に感じるかもしれないが、一年間で3世代進めることが可能なメダカならではの世代交代の速さを楽しみたいのである。
「頑張れば一年で基礎が作れる」これがメダカの改良なのである。
最近は、有名品種や著名な作り手のメダカを入手して、それを累代繁殖していち早くお金に換えよう!という動きが激しいのだが、改良メダカの世界は、もっともっと新たな作り手の登場が待たれる。
この“バタフライ”♂
背びれ、しりビレ外縁にはヒレ光もチラッと見える。
それなら、“卑弥呼”のヒレ光を目標にしても楽しくなる。
普通体形のブドウ眼アルビノにロングフィン血統を持った“ブルーライト”を交配して、別のアルビノで進めておこうかとも思っている。
それぞれの目標は、ブドウ眼アルビノ“バタフライ”とブドウ眼アルビノヒレ光である。次の段階は、また来年の作業になるのだが、継続することだけが、新たな表現のメダカを作り上げる唯一の方法である。
「新たなメダカを創る!」これを目標にされるメダカ愛好家が増えることを何より期待していたい。