“雲州三色”の作出者、野尻治男氏の作る、幹之メダカ
今年も“雲州三色”を撮影させて頂くのだが、その前に、幹之メダカを追究している中で、どうしても外すことができない系統がいたので、野尻さんに無理を言って、魚を送って頂いた。
メダカのビーンズがリリースするサンセット極龍や神奈川県川崎市在住の中里氏の作る幹之Sや幹之TSを飼育、撮影しているのだが、幹之メダカも質を高めるために、その特徴を伸ばすための選別淘汰によって、ここまで美しくなることを皆さんにも知って頂きたいのである。
「最近はフルボディタイプが安価になった」、「買った方が早い」と言った話も聞くが、そういった状況でも継続して品質を高めようとしていた方の作るメダカは裏切らないのである。
昨年5月に訪問させて頂いた時、“雲州三色”では簡単には満足されない野尻さんが、微笑みながら、「幹之にはちょっと自信がある」と言われて見せて頂いた幹之メダカは、恐ろしく体外光の幅が広く、ヒレにまで外光が乗っている個体が多かったのである。
昨年の5月に撮影させて頂いた野尻さんの幹之たちである。
それから、幹之メダカの背面に現れる体外光の幅広さなどに注目していくうちに、サンセット極龍のように、胸ビレにも外光が乗る個体など、ヒレ光と呼ばれる系統に惹かれるようになったのである。
野尻さんの作る幹之メダカは昨年から、尾ビレの後縁にも外光が乗ることが知られていた。
それを今回、しっかりと撮影させていただこうと思ったのである。
幹之メダカのヒレ光でも、この尾ビレ後縁にまで外光が乗る系統はなかなかいない。それだけこの野尻さんの系統が虹色素胞を多く持っているか?基調色の色素が多いか?なのであろう。
ここ数年は多色のメダカに体外光を移行する交配が全国各地のメダカ愛好家の手によって行われているが、体外光は幹之メダカから移行されたもの。
遠回りに感じられるかもしれないが、血統の良い幹之メダカを交配することから、新たな体外光を持つ系統を作る楽しみはまだまだ無限の可能性を秘めているのである。
そして、“一周光”と呼ばれる、体全体を縁取るように、幹之メダカ特有の外光を移行させたメダカは今後、ますます注目されるに違いない。
この野尻さんの作られた幹之メダカは、ヤフオクで入手することが出来る。https://auctions.yahoo.co.jp/seller/unsyu_medaka?select=22
最近では、「幹之メダカそのものは飼ったことがない」というメダカ愛好家も増えてきているようだが、幹之メダカは簡単な品種ではない。しっかりと良質の幹之メダカを繁殖させた経験は、後々、その他のメダカを作る時に必ず役立つ。多色で体外光を持ったメダカを更に美しくするためにも、幹之メダカの質を高める努力は必ず報われる。
こういった品質の良い幹之メダカを是非、多くの人に楽しんで頂きたいと思う。