楊貴妃ヒカリ体形“東天光”
ヒカリ体形の品種として一般的に広く知られるようになったメダカは、楊貴妃メダカのヒカリ体形である“東天光”になる。広島『めだかの館』で楊貴妃メダカが2004年に発表され、その一年後に楊貴妃ヒカリメダカが発表された。改良メダカとしては、ヒカリ体形のメダカは、『めだかの館』による2001年にピュアブラックヒカリと黄金ヒカリが発表されているが、それらは数の少ない希少な存在であったことから、一般には広まっていなかったようである。
ヒレを張り、威嚇しあう楊貴妃ヒカリメダカ“東天光”
ヒカリメダカは、本来背ビレがあるべき場所にしりビレが位置することで、その分、背ビレが後ろへ押し出される形で尾ビレの上側に癒合する。そのため尾ビレ全体のサイズが大きくなり、真ん中で綺麗に癒合した尾ビレは、大きく見応えのある姿である。
飼育に関しては通常の楊貴妃と何も変わらず楽しむことができる。ヒカリ体形のために背に光沢部分を持つので、そこには色が乗りにくいが、全身の朱赤色は、色揚げ飼料や日光下の黒容器で飼うことで、より鮮やかにすることができる。繁殖も容易であるが、ヒカリ体形メダカによく見られる脊椎骨の曲がりには注意したい。殖やすにまかせていると、骨の曲がった個体ばかりになってしまうこともある。骨曲がりは初期の頃からわかるので、繁殖用の親に残すためには、骨曲がりは外すようにしたい。
古くから知られる品種であるが、次々と紹介される最新品種に押されてか、最近ではしっかりとした個体を見ることが減っている。
産卵サイズの群れを入手した。
しっかりとヒレに色も乗り、体形もよく見えるのだが、ヒカリ体形の場合は、横からもチェックしたい。
上見ではまったくわからないが、横から見ると、脊椎骨が尾柄部で曲がっているのがわかる。ヒレの位置変化の影響か、ヒカリメダカではこの部分の変形がよく見られる。観賞用には問題ないが、種親からは外しておきたい。
こちらはメス
メスはたっぷりと卵を持つと大きくお腹が脹れるが、その影響でどうしても骨が押し上げられてしまい、背が盛り上がるような体形になることがある。若い時はまっすぐな形をしていても、年を経ると、への字のような体形になっている個体も見られる。尾柄部の骨曲がりでなければ、卵を採る分には問題ない。
このメスも体形は曲がってきてしまっている。ただ、尾を見ると、上の方に微妙に癒合の後が見られるが、ヒカリ体形の尾としては不合格である。
しっかりとバランスよく育てられたヒカリ体形のメダカは、後方の三ヒレが大きく、力強く開いた姿はとても見応えのあるものになる。基本種だからこそ、しっかりとこだわって維持していきたい。