『めだかの箱庭』訪問

 『ひまわり園』と『上州めだか』の二件にお邪魔し、その夜は栃木県足利市まで移動して宿泊。翌日に栃木県の『めだかの箱庭』を初訪問した。ちょうど足利市の山火事がニュースになっている時であり、前日の朝、館林に着いた際に焦げ臭さを感じた気がしていたのだが、朝、駅前のホテルから出発しようとすると、それほど遠くない場所を消化剤をつり下げた大型ヘリが飛んでおり、見ている前で近くの山へと消化剤を撒くのが見えた。ある意味、こんな近くまで山火事がきているのだと感じたものであった。ただ、『めだかの箱庭』はその山とは逆方向で、山火事の現場からは離れていく行程であった。


 ちょうどこの日は『めだかの箱庭』のオープン日である。午後一時のオープンのため、早朝からお邪魔させていただき、忙しくなる前に退散するという目論見であった。大通りから少し住宅街の中に入るような形に進むと、メダカののぼりと大型のビニールハウスがすぐに目に入ってきた。出迎えていただいた島田代表はやや憔悴したような様子で、それもそのはず、オープン準備のためろくに睡眠もとれていない状態であったのだが、挨拶もそこそこに全体の案内をしていただいた。
 最初に目に入った大型ハウス3棟がメインではあるが、その奥にもハウスが並び、大型容器が並ぶ場所もありと、その規模に驚かされる。敷地の広さは1000坪あり、そこにハウスが計6棟、住居の建物が2棟、納屋の中には大型プラ舟などが山と積まれており、とてもではないが『箱庭』という規模ではないと感じた。

 大型容器が並ぶ屋外の様子

 これだけでも壮観な光景であるが、当初はこの外飼いスタートをされたが、いろいろと試すうちにハウス内での飼育設備を整えていくことになったそうだ。やはり温度管理などはハウスの方が都合がよい。それぞれのハウスには農業用のエアコンが設置されており、この日も外は寒風が吹いていたが、一歩ハウスに入ると、中は熱帯地方のようであった。

 入り口付近に3棟並ぶハウスの一番奥

 主に採卵中の親メダカが入れられている。水深のある120リットル入る容器が並ぶ圧巻の光景であった。中には数ペアほどしか入っておらず、かなりゆったりとした飼い方であった。オーバーフローやエアーの配管も施され、効率よく管理できるように工夫されていた。

 オーロラ黒幹之の種親の中に変わった1匹を発見

 透けたような体色を持つ面白い表現をしていた。この1匹からの発展が楽しみである。

 真ん中のハウス

 こちらは主に育成用である。浅いプール状のたたき池で、こちらも配管から注水し、余分な水が流れ出るような形になっている。

出荷を待つ、しっかりと育ったメダカ達がそれぞれのプールに群れていた。サイズも揃っており、元気いっぱいのメダカ達であった。
 
 こちらは黒幹之

 古くから知られる品種であるが、粒ぞろいといった感じに仕上げられていた。

 涼しげな姿が特徴の“深海”

 大型のプールに何百といった感じに群れ泳いでいた。体の黒みもなく、しっかりと品種の特徴が出た姿に作られている。

 そして店舗用のハウス

 単管パイプを組み、雛壇状にして上段は横見のガラス水槽、その下に上見の黒ボックスとお客さんが見やすい配置にされており、中には基本的にペアかトリオで収容されていた。同じ品種が数本分並んでおり、比較しながら選べるところもお客さん目線で考えられていた。

 販売用にいた“三色幹之”。お手本のような個体であった。

 こちらは“夜桜ゴールド”

 そして、強烈な黒さの“カイジ”。白水槽に入っていたが、まったく色落ちしない。

 様々な品種がおり、最新品種から昔ながらの基本品種まで幅広く揃えられていた。それでいて、特徴の被るような品種はおかず、しっかりと考えたラインナップにされているようであった。
 代表の島田さんは、大型熱帯魚からテトラなどの小型種の飼育を経験され、その後ビーシュリンプとアクアリウムの経験を積まれており、2年前からメダカに取り組まれている。これまでの経験が水作りや販売の見せ方などに活かされていた。いずれは先の二つのハウスもお客さんが見学できるように開放することを計画されていた。どうやって殖やし、育てているかなどをお客さんに見てもらうことで、「面白いと感じたり、参考にしてもらえればいいですね」とされていた。無事にオープンしたが、まだまだ発展途上だろう。ここからも進歩しつづけることが強く感じられた。

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