昨年あたりより、著しくショートボディになったバルーンモーリーの人気がタイ、インドネシア、ベトナムなどの東南アジア諸国の若手の熱帯魚愛好家間で急激に人気が高まってきた。タイなどではバルーンモーリーのコンテストも行われるようになり、それに伴って、日本でも最近、徐々にだが注目度が高まりつつある。
日本にバルーンモーリーが初めて紹介されてから、もう15年以上が経過する。
バルーンモーリーの元となったのが、このセイルフィンモーリーと呼ばれるメキシコ原産の大型卵胎生メダカの一種である。
学名はPoecilia veliferaで、それにPoecilia latipinnaやブラックモーリー Poecilia sphenopsなどが交配された系統が作られてきた。
ライヤーテールになったブラックモーリーである。
セイルフィンモーリーでは、古くからアルビノも輸入されてきたいた。
セイルフィンと呼ばれる大きく伸長する背ビレが魅力的だったのだが、大型種なので、飼育には最低でも60cm水槽、出来れば90cm水槽以上が必要で、ポピュラーな存在にはなれなかったところがある。
このセイルフィンモーリーがどうしてバルーンと呼ばれるショートボディになったのか?は不明なところがあるのだが、東南アジアでは、ラミレジィやキッシンググーラミィやテトラ類、シクリッドなどでショートボディが盛んに作られたので、何か脊椎骨をつなぐ軟骨の発達を阻害する薬が使われたのではないか?とも考えられていた。
シルバーセイルフィンモーリーのバルーンでは、それだけでは人気が出ないので、体側に模様を注射器で注入した「タトゥモーリー」という邪道な魚まで輸入されてきていた。
それから15年という年月をかけ、バルーンモーリーは、ピンポンパールやダルマメダカのように、観賞魚の人気系統として、知られるようになってのである。
ダルメシアンと呼ばれる、体側に黒い円斑を散在させるタイプは今でも高い人気を得ている。
ブラックモーリーとセイルフィンモーリーの交配から作られた系統で、「ミックスバルーンモーリー」と呼ばれる普及型の様々な系統が混ざった中に見られる個体である。
セイルフィンモーリーに黒い円斑が入ったマーブルタイプは多くのバリエーションが知られている。
一気にバルーンモーリーの注目度を高めたのが、プラチナと呼ばれる基調色の白さが際立った色を持った系統が輸入されるようになった点も大きいかもしれない。これはプラチナダルメシアン
こちらはプラチナホワイト。
そして、メダカのアースアイのようにブルーアイと呼ばれる目の表面にグアニンが乗ったものがタイなどでは珍重されており、値段もその分高く扱われているようである。
そしてヒレの変化でライヤーテールになった系統もそれだけ作出難易度が高いので、価格的にも高価で扱われている。
本場のタイでは見事な三色、紅白のバルーンモーリーも作られている。
飼育の基本は比較的頻繁な水換えで飼育水を常にきれいにしておくことである。
腹部の丸みは過剰と言えるかもしれない給餌によって作られていると言えそうで、バルーンモーリーたちの食欲は旺盛である。
現在進行形でバルーンモーリーのバルーン体形の遺伝率を見ていたり、より効果的な飼育方法を模索中!
様々な体色バリエーションと共に、バルーンモーリーの魅力を今後、ちょくちょくお伝えしていく予定!