背ビレのないメダカ
“マルコ”と呼ばれる背ビレのないメダカ。
埼玉県の『行田淡水魚』小暮 武氏が背ビレのないメダカを発見し、固定化を進めた系統で、2011年に“赤色らんちゅうめだか”として発表された。背ビレのない金魚であるらんちゅうと絡めて命名された。当初はヒメダカのような色合いであったが、その後、様々なメダカとの交配が進められ、その形質は受け継がれている。特に神奈川県在住の中里良則氏が、ご自身が累代を進めていた幹之スーパー光と交配した背ビレなし幹之スーパー光は“流星”と名付けられ、大きな話題を呼んだ。
背ビレがないことで、幹之の特徴である体外光が途切れることなく背に入ると想像された中里さんが、その通りの姿に作り上げられた。さらには、やはりご自身が作出累代されていた青ラメ幹之の“星河”を交配することで、背ビレなし青ラメ幹之を作出、“天河”と名付けられた。
ラメを持つ“天河”は、水槽飼育で横からも楽しめる姿であった。
その後も、様々な背ビレなし品種が各地で作られている。青いラメブームの先駆けである“サファイア”も、背ビレなしの姿が最初に発表された。
特徴である複雑な青いラメが背ビレがないことで途切れることなく、背を埋める。
“琥珀ラメ”も背ビレなし系統が知られる。他にも三色体外光やダルマメダカなど、多くの背ビレなし品種の元になったのが“マルコ”である。
メダカは、繁殖行動をとる際に、オスが背ビレとしりビレを使ってメスを抱きかかえるようにして産卵をする。そのため、背ビレなし品種では、その行動がうまくできないために繁殖難易度がやや高めになる。そうした際は、兄弟魚の中には背ビレを持つ個体も得られるので、そのオスを使うようにしたり、産卵床を多めに入れてオスがメスを追いやすいようにするなど工夫するとよい。