凛華

　積極的な異品種交配でも知られる岡山県の『夢中めだか』が“華蓮”ד煌”で進めている交配系統が“凛華”である。

　“華蓮”は、岡山県在住の小寺義克氏が“乙姫”と“灯”を交配して作出されたブラックリム系の系統で、黒みがかった体に濃い黄橙色を見せる。“煌”は愛媛県在住の垂水政治氏が作出された“女雛”に体外光を持たせるようにご自身で発展させた系統である。『夢中めだか』は、“華蓮”からの体に“煌”の持つ柿色の発色と体外光を合わせようと考えたのであった。

『夢中めだか』で育てられていた“凛華”の若魚たち。育成槽が明るい色合いの容器であったため、全体的に体色が明るくなっていたが、ここから黒い容器で育成すれば、よりメリハリのある色調になりそうであった。

　こちらは他所で見た成魚サイズの個体。朱赤色は濃く表現されており、目を引いた。ただ、朱赤が濃くなると体外光が入りにくい傾向は他の体外光系統でも見られる。こうした点を改善していく作業は品種改良には付き物である。目標である姿を想像し、それに向かって選抜累代を進めていくことは、時間も手間もかかるのであるが、だからこそ想像が形になっていくことを体験できるのは、なによりの楽しみになる。