私的、2021年メダカ繁殖の楽しみ Example-3,4,5
まだまだ夜の気温は上がらないし、雨も多く、今年の春から夏にかけても去年同様、屋外のメダカ飼育がやりにくい2021年であるが、最低気温も20℃を超えるようになってきて、皆さんの飼育場でも、毎日、元気に産卵してくれる魚が多くなっていることだろう。
「私的、2021年メダカ繁殖の楽しみ」として、自宅でやっている繁殖例を記事にしているが、今回は、雌雄1対1採りの例を3例紹介することにした。
雌雄1対1採りは、子供の質がバラけにくくなるので、異品種交配や次期種親作り、あるいは、そのメダカが持っている遺伝子の検証、確認など、良いことが多い。
「雌雄1対1採りだと、得られる仔魚の数が少ないのでは?」と思われる方もおられるだろうが、健康なメスなら毎日20粒前後の卵を産んでくれるので、1匹のメスでも一週間に140粒、二週間産卵させれば、280粒の卵を得られる。もちろん、一週間目の卵と二週間目の卵は分けて育成することになるのだが、種親の産卵用容器を含めて、最低3個の容器があれば楽しめるので、この時期、いろいろ楽しめたりするのである。
Example-3
最初に紹介するのは、広島県福山市在住の瀬尾開三氏が“紅薊”ד煌”の交配で作られた魚の中にいた、「目立つ」雌雄をペアに組んでみた。
瀬尾さんのこの“紅薊”ד煌”の交配で作られた魚については、『メダカ百華第9号』でそのバリエーションを掲載していた魚で、栗原さんが送ってくださった魚をひと冬越させたところ、目立つメスが一匹出てきたのである。
独特の朱赤色を持ったメスで、このメスに合いそうなオスを探したのである。
瀬尾さんの“紅薊”ד煌”の交配で作られた魚は、オスの体外光が伸長した個体が多く、オス選びは難しくはなかった。そこで、尾ビレに朱赤色を持った写真の個体をチョイス!
あとは採卵して、稚魚を育てるだけである。
「まずは200匹の稚魚を育てること」それを最低限の目標にしている。
「200匹?」と思われる方もおられるだろう。大体、狙った色柄のものが1割出てくれると仮定して、20匹、雌雄にすれば、オス10匹、メス10匹ということになる。その中から出来るだけ良い次期種親を選ぼうとするなら、200匹の稚魚を育て上げるのが、ぎりぎりのラインかと思う。写真の種親からは採れる卵は「最初で最後!」、「一期一会」の気持ちで産んでくれた卵を最適な環境で育て上げることが大切なのである。
卵をパンケースのような小さな容器で孵化させ、育てようという人が多いが、せいぜい30匹前後の稚魚を育て上げても、累代繁殖、新たな系統の確立とは程遠いと思ってもらいたい。
Example-4
次に紹介するのは、群馬県太田市にある『上州めだか』の岡田卓也氏が“ブロンズ”ד琥珀ラメ幹之”の交配で進められていた魚である。同時に交配を進められた“鱗光”ד王華”の交配からは、今年、発表された“王鱗”が作られたのだが、一方の“ブロンズ”ד琥珀ラメ幹之”の交配は、岡田氏は止めることにされたのである。
岡田さんのこの“ブロンズ”ד琥珀ラメ幹之”の交配で作られた魚については、『メダカ百華第10号』でも紹介させて頂いている。
「止めるのはもったいない!」と岡田さんから譲り受け、ひと冬を越させ、紅白体色のメスにブロンズ体色のオスを1対1で交配して継いでいくことにした。
“ブロンズ”から貰いたいのは、独特なブロンズ体色、そしてヒレ光、遺伝子は持っている垂水ロングフィンの背ビレ、しりビレのギザギザ感である。“琥珀ラメ幹之”からはもちろん、ラメ光沢で、“ブロンズ”から出る“ブロンズ紅白”体色で、ラメ光沢があり、ヒレ光も持つ、もしかすれば、垂水ロングフィンの特徴が出てくるかもしれない!?これがこの交配の狙いである。
稚魚は既に200匹は超えており、幼魚の写真も随時、掲載していくつもりである。
Example-5
三色ラメ幹之体外光のペアである。
「何故?このペアで?」と思われるかもしれないが、「ペアで入手した魚がこの2匹だった」という理由だけである(笑)
よくペアで入手される方もおられるだろうが、まずは、「産卵させるのみ!」である。オスは赤勝ちだが、ラメはあるので、メスの白さと上手くマッチする子供が出てきてくれないか?期待はしている。
三色系統の場合は、素晴らしいペアで採れば、良い子がザクザク出来てくる訳ではない。三色系統で良い個体を得るためには、「数を出来るだけ多く採ること」が大切である。
何度も書くが、状態が良ければ、メスは一日に20粒前後の卵を産んでくれる。その数が25個と増えれば、4日で100個の卵を得られる計算になる。
三週間採れば、500個の卵を得ることだって不可能ではないのである。その数を得るために、水換えによるしっかりとした水質管理と適切な給餌を行うことが何より大切!
このペアでは「500匹の稚魚を育て上げる」ことをノルマにしている。それで10%の50匹の美しい三色ラメ幹之体外光が得られれば、御の字である。それが10ペアでも上出来!そこから、自分の三色ラメ幹之体外光を作り始める礎を作るために、このペアは頑張って数採りである。
三つの組み合わせを紹介したが、どれもまずは数採り!そのために、親魚の泳ぎ、餌の食べっぷり、卵の産み具合を毎日、しっかりと観察して、目標を達成したい。
この子供たちから、新たなペアを作る、あるいはグループ産卵の種親を選ぶ…それは夏の楽しみである。