タナゴの仲間の魅力

タナゴの仲間は、日本産淡水魚の中でも非常に高い人気を得ている仲間である。

このタナゴに興味を持ち、魚類好きになる人も少なくないし、タナゴに出会って、魚類研究者の道へ進む人も多いのである。「多いのである」というより、「多かったのである」と言った方がしっくりくるのが今日かもしれない。

日本産淡水魚の多くは、レッドデータで絶滅の危機に瀕しているとされる。

絶滅危惧ⅠA類(CR)には、ミヤコタナゴ、イタセンパラ、イチモンジタナゴ、ミナミアカヒレタビラ、セボシタビラ、ゼニタナゴ、ニッポンバラタナゴ、スイゲンゼニタナゴが記載されているし、

絶滅危惧ⅠB類(EN)には、タナゴ、シロヒレタビラ、アカヒレタビラ、キタノアカヒレタビラ、カゼトゲタナゴ

準絶滅危惧(NT)には、ヤリタナゴ、アブラボテとここまでに15種(亜種を含む)が記載されているのが現状である。

記載されていない種類は、在来種ではカネヒラ、あとは外来種のタイリクバラタナゴとオオタナゴである。

こちらはカネヒラ、全国各地に移植され、移入種として問題にされていたりする。元来の分布域は濃尾平野以西、琵琶湖淀川水系、山口県を除く中国地方、九州北部なのだが、移植によって東北地方、関東地方に分布を拡げていたりする。

これはヤリタナゴ、自分の学生時代にはどこにでもいたタナゴなのだが、今では準絶滅危惧!なんか信じられない気持ちである。

シロヒレタビラは、濃尾平野、琵琶湖淀川水系、兵庫県、岡山県に生息している種類で、この写真は岡山県産の個体である。青森県にも移入している個体群がいたりするのだが、以前の岡山県の平野部では当たり前に採れたタナゴの一種である。

これはカゼトゲタナゴ(北九州集団)である。以前のスイゲンゼニタナゴが韓国のスイゲンゼニタナゴとは異なることが報告され、カゼトゲタナゴ(山陽集団)とされるようになっている。

こう言ったレッドデータが発表されると、淡水魚、ことタナゴ類を飼育することが悪いことのように言われることもある。減少した要因として「マニアによる乱獲」と書かれることも普通に目にする。

「果たしてそうだろうか?」確かに乱獲してヤフオクで販売したりする人もいるだろうが、ごくごく少数なのだが、大きな網を被せるように、飼育そのものが悪いことのように言われることも目にするようになってきた。

だが、淡水魚、そして魚類への興味を持ってもらうために、アンタッチャブルにすれば良いということには繋がらないと以前から思っている。

飼育者の考え方、一つなのだが、タナゴの仲間は活きた二枚貝内に産卵するという特異な繁殖形態を持っており、それが、護岸工事や水質の悪化により、二枚貝が先にいなくなり、産卵することが出来ずに、結果として繁殖できなくなり、姿を消す…ことも少なくない。

でも趣味として10匹程度を持ち帰ることで、そこのタナゴがいなくなるというのであれば、そもそもその生息環境が適さなくなっているということである。

天然記念物や種の保存法で規制されているタナゴを飼育することはもちろん、できないが、ヤリタナゴにしても、カゼトゲタナゴ(北九州集団)にしても、実際に目にして、手にして、飼育してみて、その種類を大切に思う気持ちも養えると思っている。

ProFile別冊 タナゴの仲間にしても、

手に取るようにわかる川や湖の生き物の飼い方にしても、日本の在来種を大切に思うことを、飼育することで読者の方々に伝えたいのである。

別に宣伝している訳ではないが、日本の淡水域の生物の採集と飼育が年々、窮屈になっているのが「良いこと」だとは思えない。実際に手にしてみることから始まることも大切なことだと感じているのである。