ヤドクガエル御三家
以前は見る機会さえ少なかったヤドクガエルの仲間。
最近では輸入量も増え、国産の個体もわずかながら流通するまでになり、だいぶ身近な存在になってきた。
ヤドクガエルとひとくくりにされるが、中南米に分布する小型の昼行性ガエルを指している。その中には様々な種類がおり、同じ種類でも地域型などのバリエーションも多く、その小さく美しい姿から“密林の宝石”とも言える存在である。
その中から勝手に御三家として挙げてみる。
イチゴヤドクガエル
学名のプミリオの名も有名な小型種。
その呼び名の通り赤い色彩が特徴だが、手足が青いブルージーンや黒いスポットが全身に入るバスティメントス、まったく赤みが入らず青黒いものや若草色のものまで非常にバラエティに富む種である。
コバルトヤドクガエル
これが自然の色なのかと疑いたくなるような鮮やかな体色は目に焼きつくだろう。
ヤドクガエルの中では比較的大型だが、それでも体長4cmほどである。
美しさと共に人気も非常に高い。丈夫で飼いやすいため、初めてのヤドクガエルとしてもお薦めできる存在だ。
キオビヤドクガエル
これで赤青黄とヤドクガエルの信号ができる。
黄色と黒という色の組み合わせは、スズメバチなどでも見られる代表的な警戒色である。本種の黄色もそれでもかという濃さを見せる。
本種も丈夫で飼いやすく、初心者向きとも言える。ヤドクガエルの中でも国内での繁殖例も数多い。また、オスの鳴き声はヤドクガエルの中でもトップクラスの美しさである。
この他にも数多くのヤドクガエルがいるが、こうして数多くの種類が流通するようになったのには、いくつかの要因がある。
もちろん輸入ルートの開拓や爬虫両生類を扱う専門店の努力や充実があるが、餌の確保が容易になったのが大きい。
一昔前には生きたコオロギやショウジョウバエの入手は難しかったが、最近では一年中様々なサイズで入手することができる。
ヤドクガエルは基本的に生きた虫を食べるので、こうした生き餌の確保は最重要であった。もちろん自分で殖やすことをするのもよい。飼ってみるとわかるが、ヤドクガエルはその体の割に非常に大食漢で、むしろ餌が少ないと調子を崩す。それを満足させる餌を買わなければならないので、殖やせばある程度軽減もできる。ショウジョウバエなどは種親を入手すれば、延々と累代することもできる。むしろ殖え過ぎて困るくらいになることもある。
他にネオレゲリアなどの観葉植物の流通が増えたことも役立っている。
野生のヤドクガエルもネオレゲリアをシェルター代わりにしていることもあり、こうした植物をレイアウトに入れることで、より自然に近く、見た目もよくヤドクガエルの落ち着ける環境を作ることもできる。
様々なコケ類を使ってのレイアウトも楽しい。
飼育水槽や照明、保温器具などの充実ももちろんある。
しっかりと飼えば繁殖まで楽しむこともできるヤドクガエルの世界をお薦めしたい。