オスカー
オスカーの愛称で知られるアストロノータス属のシクリッド、その魅力は多岐に渡る。
南米産大型シクリッドの代表種とも言われ、古くから東南アジアで養殖された幼魚が盛んに輸入されており、手頃な価格も手伝い、多くの人に飼育されてきた。
よく見かける5cmほどの幼魚
黒と赤という派手な配色を持ち、成長過程による体色や模様の変化も楽しむことができる。また、改良品種からワイルドまで含め多くのバリエーションが知られることから、個体コレクションを楽しむ愛好家も多い。
古くからアクアリウムフィッシュとして紹介されているオスカーは、東南アジアで盛んに行われている養殖過程でいくつもの改良品種が得られている。原種に最も近い姿をしたタイガー・オスカー、体の大部分が赤に染まるレッド・オスカー、それぞれのアルビノやロングフィンタイプなど、バラエティに富んでいる。
こちらはワイルド個体の混泳
古くはワイルド・オスカーとしてまとめられていたが、その後流通経路が整備されたことによって、南米各地から種別や産地別などで様々なタイプが輸入されることもあったが近年では現地の保護政策などにより、現地採集魚の輸入は減少傾向にある。
順調に成長すると30cmほどになることから、水槽内での存在感も十分にある。それでいて同サイズの中米産シクリッドなどに比べると、比較的穏和な性質をしていることも混泳向きとされ、アロワナやポリプテルスなど他の大型魚との混泳魚として選ばれている場合も多い。また、唇を突きだした厳つい顔つきをしているが、ギョロッとした目つきは愛嬌を感じるものであり、飼育者によく慣れる人懐こさで人の動きに反応して寄ってきたり、手から直接エサを食べるなど、ペット的なイメージを受ける愛好家も多いようである。
手頃な価格とその可愛らしい様子から、思わず購入に踏み切る人も多いようだが、最終的には大型になることや、肉食魚であることなどを考えて、十分な飼育設備を用意し、最後まできっちりと面倒を見ることを心掛けて欲しい。手をかければかけるほど、オスカーは飼育者に馴れ、より美しい姿を見せてくれるようになるだろう。