フェアリー・シクリッド
タンガニイカ湖産のシクリッドがブームになっていたのは、とうの昔の話で、最近では見られる種類もごく少なくなってしまった。
それでも“ブリチャージィ”の仲間は、いまだに絶えることなく輸入されており、タンガニイカ湖産シクリッドの入門種的存在である。
ネオランプロローグス・ブリシャールディ
白く縁取られる伸長するヒレが優雅で、フェアリー(妖精)の由来でもある。
タンガニイカ湖に広く分布しており、いくつかの地域変異型や近縁種も知られる。
ダフォディールと呼ばれる黄色味の強いプルケール種。
現地からの輸入はほとんどないが、ヨーロッパや東南アジアで養殖された幼魚が盛んに輸入されており、人工飼料に問題なく餌付き、丈夫で飼育は容易である。
養殖過程で出現したアルビノタイプも固定されている。
比較的おとなしいため他種との混泳も可能であるが、ペアを作るとテリトリーを主張するようになる。繁殖も容易で、45cm以上の水槽に5匹程度を飼育していればペアが得られる。本種は最初に産卵した卵がフ化し、稚魚が泳ぎ出す頃には次の産卵を行う。先に育っている幼魚は、次に生まれてくる稚魚を攻撃するようなことはない。親はその後も産卵を繰り返すので、複数回の産卵による大小様々な幼魚たちが群れ泳ぎ、大型水槽であれば100匹を超える見事な群れになる。
他のシクリッドなどは、同種でも小さな稚魚は捕食されてしまったり、親も稚魚を守っているうちは次の産卵を行わないものがほとんどで、“ブリチャージィ”の仲間は、先の幼魚が親に代わって後から生まれる弟妹の面倒をみるという“ヘルパー”と呼ばれる特徴的な生態を持ち、この様子は比較的簡単に観察することができる。
大きさの違う幼魚が混泳する。ここでは三世代分の子供達が見える。
タンガニイカ湖産シクリッドには、特徴的な生態を持つものや、さまざまな容姿の魅力種が多いのである。